ピロリ菌について

ピロリ菌は胃の粘膜に住みつく菌です。
ピロリ菌の正式名はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)です。ピロリ菌は大気中では発育せず、乾燥にも弱い菌ですが、胃の中では「ウレアーゼ」という酵素で尿素からアンモニアをつくり、胃酸を中和することで生きています。ピロリ菌感染者は世界人口の半数程度、日本ではおよそ6000万人が感染しているとされています。ピロリ菌は幼少期に生水(主に井戸水)や食べ物と一緒に口に入って感染すると考えられています。また、ピロリ菌に感染している親族から口を介して感染する場合もあります。
ピロリ菌が原因になる病気

ピロリ菌による慢性胃炎
ピロリ菌によって胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんが起こりやすくなります。また、胃のリンパ腫(MALTリンパ腫)・免疫性血小板減少性紫斑病(血液中の血小板が減る病気)などにも関係しています。
特に胃がんについて、1994年世界保健機構WHOは疫学的調査の結果、ピロリ菌を確実な胃がん発がん因子に認定しました。その後の研究で、①ピロリ菌感染者と未感染者を比較すると、感染者からは胃がん発症を認めたのに対しピロリ菌未感染者からの胃がん発生はなかったこと、②早期胃がんを内視鏡治療した患者さんをピロリ除菌群と非除菌群に分けて経過観察すると、除菌群からの2次胃がん発症率は除菌しなかった群に比べ約1/3であったこと、③胃がん患者さんについてピロリ菌感染診断を行ったところピロリ菌未感染胃がんは0.66%のみであったことなどが分かり、現在では「胃がんの99%はピロリ菌感染に由来する」と考えられています。
ピロリ菌の検査
内視鏡(胃カメラ)で胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などを診断された方は健康保険でピロリ菌検査を受けることが出来ます。症状の無い方は人間ドックや検診で検査可能です。
令和3年10月から名古屋市の20・30代の方は無料で血液検査によるピロリ菌検診を受けられるようになりました。クーポン不要・事前準備不要ですのでお気軽に受付・お電話でお申し付けください。
また、令和4年10月から名古屋市の40歳以上59歳以下の方(年度末時点の年齢)を対象とした、胃がんリスク検査が受けられるようになりました。500円で血液中のピロリ菌の抗体量及びペプシノゲン値を測定します。
ピロリ菌の除菌
3種類の飲み薬1週間分で除菌を行います。一次除菌と二次除菌がありますが、二次除菌まで合わせると約95%の方で除菌可能となっています。
胃がんを予防するためにはピロリ菌の除菌が必要です。早期胃がんの内視鏡治療後にピロリ菌を除菌した患者さんは、除菌をしなかった患者さんと比べ、新しい胃がんが発生する確率は明らかに低くなっています。
ピロリ菌除菌後の効果

ピロリ菌除菌後の早期胃癌
ピロリ菌の除菌に成功すると、以下のような効果が期待できます。
- 胃がんリスクの低減
ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発症リスクを約1/3に抑えることができます。 - 胃・十二指腸潰瘍の再発防止
除菌により、胃・十二指腸潰瘍の再発可能性を約70〜90%減少させることができます。 - 慢性胃炎の改善
ピロリ菌感染による慢性胃炎の進行を抑え、胃粘膜の状態を改善します。 - 家族内感染の予防
ピロリ菌保菌者から同居する乳幼児への感染リスクを減らすことができます。 - 再感染リスクの低さ
一度除菌に成功すると、成人後の再感染はほとんどありません。
ピロリ菌の除菌治療は、若い年齢で行うほど胃がんの発症を効果的に抑えることができます。ただし、除菌治療によっても胃がんのリスクを完全にゼロにすることはできません。そのため、年に1回の胃カメラ検査を受けることが推奨されています。特に、除菌前に胃炎が強かった方は、除菌後も胃がんの発生リスクがあるため、定期的な胃カメラ検査が重要です。