ピロリ菌について

ピロリ菌は胃の粘膜に住みつく菌です。
ピロリ菌の正式名はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)です。ピロリ菌は大気中では発育せず、乾燥にも弱い菌ですが、胃の中では「ウレアーゼ」という酵素で尿素からアンモニアをつくり、胃酸を中和することで生きています。ピロリ菌感染者は世界人口の半数程度、日本ではおよそ6000万人が感染しているとされています。ピロリ菌は幼少期に生水(主に井戸水)や食べ物と一緒に口に入って感染すると考えられています。また、ピロリ菌に感染している親族から口を介して感染する場合もあります。
当院のピロリ菌診療の特長
当院では、消化器を専門とする院長(消化器病専門医・消化器外科専門医、日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医)が、検査・除菌から、除菌後の定期的な胃カメラによるフォローまで、一貫して対応いたします。
当院の年間ピロリ除菌実績:2023年 100件 / 2024年 112件 / 2025年 114件
(詳しい診療実績は診療実績ページをご覧ください)
ピロリ菌が原因になる病気

ピロリ菌による慢性胃炎
ピロリ菌によって胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんが起こりやすくなります。また、胃のリンパ腫(MALTリンパ腫)・免疫性血小板減少性紫斑病(血液中の血小板が減る病気)などにも関係しています。
特に胃がんについて、1994年世界保健機構WHOは疫学的調査の結果、ピロリ菌を確実な胃がん発がん因子に認定しました。その後の研究で、①ピロリ菌感染者と未感染者を比較すると、感染者からは胃がん発症を認めたのに対しピロリ菌未感染者からの胃がん発生はなかったこと、②早期胃がんを内視鏡治療した患者さんをピロリ除菌群と非除菌群に分けて経過観察すると、除菌群からの2次胃がん発症率は除菌しなかった群に比べ約1/3であったこと、③胃がん患者さんについてピロリ菌感染診断を行ったところピロリ菌未感染胃がんは0.66%のみであったことなどが分かり、現在では「胃がんの99%はピロリ菌感染に由来する」と考えられています。
ピロリ菌の検査
内視鏡(胃カメラ)で胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などを診断された方は、健康保険でピロリ菌検査を受けることができます。症状のない方は、人間ドックや検診(名古屋市の検診を含む)でも検査が可能です(費用は下記「費用の目安」をご覧ください)。
当院のピロリ菌検査の方法
ピロリ菌の検査にはいくつかの方法があり、当院では患者さんの状況や目的に合わせて、適切な方法を選択して実施いたします。
- 内視鏡を用いる方法(胃カメラの際に行う迅速ウレアーゼ試験・組織の顕微鏡検査 など)
- 内視鏡を用いない方法(尿素呼気試験、血液(抗体)検査、便中抗原検査 など)
ピロリ菌の除菌
3種類の飲み薬1週間分で除菌を行います。一次除菌と二次除菌がありますが、二次除菌まで合わせると約95%の方で除菌可能となっています。
胃がんを予防するためにはピロリ菌の除菌が必要です。早期胃がんの内視鏡治療後にピロリ菌を除菌した患者さんは、除菌をしなかった患者さんと比べ、新しい胃がんが発生する確率は明らかに低くなっています。
検査から除菌までの流れ
- ① 受診・問診を行い、必要に応じて胃カメラ・検査を実施します。
- ② ピロリ菌が陽性の場合、除菌治療(3種類の薬=抗生物質2種類と胃酸分泌抑制薬)を1週間服用します。
- ③ 服用終了から8週間以上(約2か月後)あけて、除菌の判定検査(尿素呼気試験 など)を行います。
- ④ 除菌できていない場合は、薬を変えて2次除菌(再度1週間)を行います。
- ⑤ 除菌成功後も胃がんのリスクはゼロにはならないため、1年に1回の胃カメラ検査をおすすめします。
ピロリ菌除菌後の効果

ピロリ菌除菌後の早期胃癌
ピロリ菌の除菌に成功すると、以下のような効果が期待できます。
- 胃がんリスクの低減
ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発症リスクを約1/3に抑えることができます。 - 胃・十二指腸潰瘍の再発防止
除菌により、胃・十二指腸潰瘍の再発可能性を約70〜90%減少させることができます。 - 慢性胃炎の改善
ピロリ菌感染による慢性胃炎の進行を抑え、胃粘膜の状態を改善します。 - 家族内感染の予防
ピロリ菌保菌者から同居する乳幼児への感染リスクを減らすことができます。 - 再感染リスクの低さ
一度除菌に成功すると、成人後の再感染はほとんどありません。
ピロリ菌の除菌治療は、若い年齢で行うほど胃がんの発症を効果的に抑えることができます。ただし、除菌治療によっても胃がんのリスクを完全にゼロにすることはできません。そのため、年に1回の胃カメラ検査を受けることが推奨されています。特に、除菌前に胃炎が強かった方は、除菌後も胃がんの発生リスクがあるため、定期的な胃カメラ検査が重要です。
費用の目安
健康保険(3割負担)の場合の目安です。
- 胃カメラ検査:4,000〜9,000円程度(生検・鎮静の有無により異なります)
- ピロリ菌の検査・除菌薬・除菌判定:あわせて数千円程度
- 胃カメラを含めた一連の費用でも、おおむね1万円程度までが目安です
自費の場合、胃がんリスク検診(ピロリ抗体検査)を 3,300円(税込)で行っています。
名古屋市の検診(年度末時点の年齢・市内にお住まいの方)
・20歳以上39歳以下の方:ピロリ菌検査が無料(問診と採血によるピロリ抗体検査、おひとり1回)
・40歳以上59歳以下の方:胃がんリスク検査が 500円(ピロリ抗体とペプシノゲン。市民税非課税世帯等は免除)
※ 実際の費用は検査内容・回数等により異なります。詳しくは受付・お電話でお問い合わせください。
よくあるご質問
Q. 除菌すれば胃がんにならないのですか?
A. 除菌により胃がんのリスクは大きく下がりますが、ゼロにはなりません。特に除菌前に胃炎が進んでいた方はリスクが残るため、除菌後も定期的な胃カメラ検査をおすすめします。
Q. 除菌の成功率はどのくらいですか?
A. 一般に、1次除菌と2次除菌を合わせると約95%の方で除菌が可能とされています(薬剤により異なります)。当院では、より除菌率の高いボノプラザンを用いた治療を行っています。
Q. 保険でピロリ菌の検査・除菌を受けられますか?
A. 胃カメラで胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などと診断された方は、健康保険で検査・除菌を受けられます。症状のない方は、検診・人間ドック等での検査となります。
Q. 除菌治療中に注意することはありますか?
A. 処方された薬を指示どおり最後まで服用してください。自己判断で中断すると除菌に失敗しやすくなります。飲酒や副作用については事前にご説明します。
Q. 家族も検査を受けた方がよいですか?
A. ピロリ菌は家庭内で感染することがあります。ご家族に感染や胃の病気が心配な方がいらっしゃれば、お気軽にご相談ください。
Q. 一度除菌すると再感染しますか?
A. 成人してからの再感染はまれとされています。
このほかのご質問は、よくあるご質問のページもご覧ください。