消化器内科
消化器内科では、文字通り消化器に起こった病気の治療を行います。食道に始まり、胃腸などの消化管、およびそれに連なる胆のう、すい臓などが対象です。腹痛や嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状の際には、お気軽にご相談ください。問診および診察を十分に行ったうえで、必要があれば血液検査、レントゲン、腹部エコー、胃カメラなどを用いた検査を行い、診断に繋げていきます。
逆流性食道炎(GERD)

逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。主な症状は「胸やけ」や「酸っぱい液がこみ上げる感じ(呑酸/どんさん)」で、横になるときや食後に悪化することがよくあります。
最近では日本でも患者数が増えており、10〜20%の方が何らかの症状を経験していると言われています。以前は中高年に多い病気とされていましたが、食生活の変化やストレス、肥満の増加により、若年層や女性にも増加傾向があります。
主な症状
- 胸やけ(胸やみぞおちが焼けるような感じ)
- 呑酸(胃酸が喉や口に上がってくる感じ)
- のどの違和感・咳・声のかすれ
- 食後のもたれ感、食物がつかえる感じ
日常生活に支障をきたすだけでなく、生活の質(QOL)の低下や合併症を引き起こすこともあります。
原因と悪化要因
胃酸の逆流を防ぐ役割をもつ「下部食道括約筋」が緩んだり、腹圧が高まったりすることで、胃の内容物が逆流しやすくなります。以下のような因子が関係しています。
- 食べすぎや脂っこい食事
- アルコールやカフェイン、チョコレートなどの摂取
- 肥満、便秘、喫煙
- 就寝前の飲食や食後すぐ横になる習慣
- 食道裂孔ヘルニア(胃の一部が食道側へ飛び出ている状態)
診断方法
症状の問診だけで診断されることもありますが、必要に応じて以下の検査を行います。
- 視鏡検査(胃カメラ):炎症の有無を確認
- pHモニタリング検査:胃酸の逆流を数値で測定
- 食道内圧検査:食道の動きや括約筋の状態を調べる
びらん(ただれ)が見つかる場合は「びらん性」、見られない場合でも症状があれば「非びらん性(NERD)」と診断されます。
治療について
症状の程度や患者さまの生活スタイルに応じて、生活習慣の改善、薬物療法、検査・手術などを組み合わせた個別化治療を行います。
1. 生活習慣の改善
治療の基本となる重要なポイントです。次のような工夫が有効です。
- 食べすぎ・早食いを控える
- 就寝2〜3時間前には食事を終える
- 食後すぐに横にならない、前かがみを避ける
- 就寝時は上半身を少し高くして寝る
- 脂肪分・糖分・刺激物(カフェイン・アルコール・香辛料)を控える
- 肥満や便秘の改善
- 喫煙・飲酒を控える
- 腹部を圧迫する服を避ける
生活習慣を見直すことで、薬を使わずに症状が改善することもあります。
2. 薬物療法(症状に応じて処方)
症状が強い場合や生活習慣の見直しだけでは改善しない場合には、お薬による治療が行われます。
| 薬の種類 | 主な作用・特徴 |
|---|---|
| PPI(プロトンポンプ阻害薬) | 胃酸の分泌を強力に抑える。約70~90%の患者さんに効果あり。 【例】タケプロン、パリエット、ネキシウムなど |
| P-CAB (カリウムイオン競合型アシッドブロッカー) |
PPIよりも速効性・持続性に優れ、最近多く使用される。 【例】タケキャブ |
| H2ブロッカー | 胃酸分泌を抑える作用あり。PPIより効果は穏やか。 【例】ファモチジン |
| 消化管運動改善薬 | 胃の動きを助け、逆流を防ぐ。 【例】モサプリド |
| 粘膜保護薬・制酸薬 | 食道の粘膜を保護し、症状を和らげる。 |
| 漢方薬や抗不安薬 | 症状が慢性的な方やストレス要因がある方に併用されることがある。 【例】六君子湯、半夏厚朴湯、ロラゼパムなど |
症状が軽い場合には「オンデマンド療法(必要なときのみ服薬)」が有効なケースもあります。
3. 難治例への対応
薬を服用しても症状が改善しない「治療抵抗性GERD」の場合は、精密検査(pHモニタリング、内圧検査など)を行い、薬剤の見直しや追加治療を検討します。
必要に応じて、消化管運動改善薬・漢方薬の併用や、稀に外科的手術(腹腔鏡下噴門形成術)などが選択されることもあります。
当院での取り組み
みなみ内科・外科クリニックでは、患者さま一人ひとりの症状や体質、ライフスタイルに合わせて、丁寧な診察と治療方針のご提案を行っています。
- 胸やけや喉の違和感などの症状にお悩みの方:生活習慣のアドバイスやお薬の処方
- 症状が長引く方や不安がある方:内視鏡検査や必要な精密検査を実施
症状の改善はもちろん、再発予防にも力を入れています。
逆流性食道炎は、放っておくと慢性化したり、食道炎やバレット食道といった合併症を引き起こしたりすることもあります。
「なんとなく調子が悪い」「市販薬で一時的にしか治まらない」といった方も、ぜひお気軽にご相談ください。
胃炎(急性胃炎・慢性胃炎)

急性胃炎
胃炎は、胃の内側を覆う粘膜に炎症(ただれ・赤み)が起きている状態の総称です。一時的な刺激で起こる「急性胃炎」と、長く続く「慢性胃炎」があり、原因によって対応が変わります。
症状が強い場合や長引く場合は、自己判断で市販薬を続けるのではなく、原因を確認することが大切です。
主な原因
- 暴飲暴食、アルコール、刺激物(辛いもの・熱いものなど)
- 薬:痛み止め(NSAIDs:ロキソプロフェンなど)、アスピリンなど
- ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染(慢性胃炎の重要な原因)
- 体調不良・過労・睡眠不足などの「胃への負担」
※まれに、自己免疫の異常など特殊な原因が関係することもあります。
主な症状
- みぞおちの痛み・不快感、胃もたれ、膨満感
- 胸やけ、げっぷ、吐き気(ときに嘔吐)
- 食欲低下
急性胃炎では症状が突然強く出ることがあります。慢性胃炎では「なんとなく重い・張る」など、はっきりしない症状が続くこともあります。
検査と診断
症状や経過、年齢、体重減少・貧血などの有無を踏まえて検査を選びます。
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡):胃炎の程度や潰瘍・出血の有無を確認します。必要に応じて生検(組織検査)を行い、他の病気が隠れていないかも確認します。
- 血液検査:出血が疑われる場合の貧血(末梢血)や、炎症の数値(CRPや白血球数など)を確認します。
- ピロリ菌検査:当院では状況に応じて、尿・血液・尿素呼気試験・便などの検査を組み合わせて行います。
※胃の症状があっても、胃カメラで強い炎症が見つからない場合は、別の病気(例:機能性ディスペプシア)を考えて治療方針を調整します。
治療について
原因に合わせて治療を行います。
- 急性胃炎:原因(アルコール・刺激物・薬など)を避け、胃酸を抑える薬や粘膜を守る薬で改善を目指します。水分が取れない、嘔吐が強い場合は点滴が必要になることもあります。
- ピロリ菌が関係する慢性胃炎:ピロリ菌が陽性の場合は除菌治療を行い、治療後に「除菌できたか」を確認します。
- 薬剤性胃炎:原因薬の中止・変更を検討し、必要に応じて胃薬を併用します(薬を中止できない方も対策を相談できます)。
日常生活で気をつけること
- 暴飲暴食を避け、腹八分目を意識する
- アルコール・刺激物・喫煙は控えめにする
- 痛み止めは自己判断で連用せず、必要があれば医師・薬剤師に相談する
- 睡眠不足や過労が続くときは、まず休息をとる
当院での取り組み
みなみ内科・外科クリニックでは、胃もたれ・みぞおちの痛み・吐き気などの症状に対して診察や腹部X線検査などを行い、必要に応じて院内で胃カメラ(生検を含む)、ピロリ菌検査、血液検査を実施し、診断と治療につなげます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)

胃潰瘍
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜が傷つき、えぐられたような「潰瘍(かいよう)」ができる病気です。多くはお薬で治療できますが、放置すると出血や穿孔(せんこう:穴があく)など重い合併症につながることがあるため、早めの受診が大切です。
主な原因
原因として多いのは、次の2つです。
- ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染
- 痛み止め(NSAIDs:ロキソプロフェンなど)やアスピリンの服用
そのほか、喫煙、過度の飲酒、体調不良、睡眠不足などが重なると悪化しやすくなります。
主な症状
- みぞおちの痛み・不快感、胃もたれ
- 胸やけ、吐き気、食欲低下
- 貧血症状(だるさ、息切れ、動悸)
※出血している場合
※症状がはっきりしないまま、出血で見つかることもあります。
すぐ受診が必要な症状(危険なサイン)
次のような症状があれば、早めに医療機関を受診してください。
- 吐血(赤い血/コーヒー色の吐物)
- 黒い便(タール便)
- 突然の強い腹痛、冷や汗、動けないほどの痛み(穿孔の可能性)
- ふらつき、立ちくらみ、息切れ、強い倦怠感(出血による貧血の可能性)
検査と診断(胃カメラが重要です)
診断には胃カメラ(上部消化管内視鏡)が最も重要です。潰瘍の有無や場所、出血の程度を確認します。必要に応じて生検(組織検査)を行い、胃がんなど別の病気が隠れていないかも確認します。
また、出血が疑われる場合は血液検査で、貧血の有無(末梢血)や炎症の数値(CRPや白血球数など)を測定し、当日に結果をご説明することも可能です。
ピロリ菌検査・治療について
ピロリ菌が関係している場合は、検査で確認し、必要に応じて除菌治療を行います。当院では状況に応じて、ピロリ菌検査(尿・血液・尿素呼気試験・便)を使い分けています。
ピロリ菌が陽性の場合は除菌治療を行い、治療後は再度検査で「除菌できたか」を確認します。除菌が成功すると再発予防につながります。
治療について
多くは、胃酸を抑える薬(PPIやP-CABなど)で潰瘍を治します。原因に応じて治療方針を決めます。
- ピロリ菌陽性:除菌治療を行い、再発を防ぎます。
- 痛み止めなどが原因:中止や変更を検討し、必要に応じて胃薬を併用します。
- 出血が強い場合:胃カメラで止血処置が必要になることがあります。
再発を防ぐために
- 薬は自己判断で中止しない
- 痛み止めを常用している方は医師へ相談(薬の見直し・胃薬の併用)
- 禁煙し、飲酒は控えめにする
- 胃の不調が続くときは我慢せず受診する
当院での取り組み
みなみ内科・外科クリニックでは、みぞおちの痛み・胃もたれ・黒い便などの症状に対し診察や腹部X線検査などを行い、必要に応じて胃カメラ(生検を含む)やピロリ菌検査・除菌治療まで一貫して対応します。
また、出血が疑われる場合には当日の血液検査で貧血や炎症の有無を確認し、結果をご説明します。
機能性ディスペプシア
(FD:Functional Dyspepsia)
機能性ディスペプシア(FD)は、胃カメラなどの検査で「はっきりした異常(潰瘍やがんなど)」が見つからないにもかかわらず、胃もたれ・みぞおちの痛みなどのつらい症状が続く病気です。
命に直結することはほとんどありませんが、症状が長引くと日常生活に影響することがあります。「気のせい」と我慢せず、病気として適切に対処することが大切です。
主な症状
- 食後の胃もたれ、お腹の張り(膨満感)
- 少し食べただけで満腹になる(早期飽満感)
- みぞおちの痛み、焼けるような感じ
- 吐き気、げっぷ、食欲低下など
※症状は「食後に強いタイプ」「痛みが中心のタイプ」などに分かれることがあり、混在することもあります。
なぜ起こるの?(原因・悪化要因)
FDは原因が1つに決まる病気ではなく、いくつかの要素が重なって起こると考えられています。
- 胃の動きの乱れ(食後に胃がうまく広がらない/胃の排出が遅いなど)
- 胃が刺激に敏感になる(内臓過敏)
- 胃酸や胆汁の影響が関与するケース
- ストレス・不安・睡眠不足などで症状が強くなることもあります
検査と診断
(「他の病気がない」ことの確認が大切)
FDは、症状が似ている病気がないことを確認したうえで診断します。
- 問診・診察:症状の内容、食事との関係、期間、服薬(痛み止めなど)、体重変化、ストレス状況などを確認します。
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡):胃炎・潰瘍・逆流性食道炎・腫瘍などがないかを確認します。必要に応じて生検(組織検査)も行います。
- 血液検査:貧血や炎症、肝胆膵など、症状の原因になりうる別の病気の手がかりを確認します。
- ピロリ菌検査:必要に応じて評価します(※ピロリ菌=必ずFDの原因、というわけではありません)。
治療について
(「完治」より「コントロール」を目指します)
FDは、生活改善とお薬を組み合わせて、症状をうまく抑え、生活の質(QOL)を上げる治療が基本です。
- 生活・食事の調整:少量を回数分けして食べる/脂っこい食事や過食、寝る直前の食事を避ける/睡眠を確保する など
- 薬物療法:胃酸を抑える薬や、胃の動きを整える薬などを症状に合わせて検討します。
- 症状が強い・長引く場合は、漢方薬の併用や痛みの感じ方を調整する治療を検討することもあります。
- ピロリ菌が陽性の場合、胃の将来的なリスクも踏まえて除菌を検討します(※除菌でFDが必ず治る、というわけではありません)。
当院での取り組み
みなみ内科・外科クリニックでは、胃もたれ・みぞおちの痛み・吐き気などの症状に対して診察や腹部X線検査を行い、必要に応じて院内で血液検査、胃カメラ(生検を含む)、ピロリ菌検査を実施します。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群は、腸の機能に問題がある状態で、主に大腸に影響を及ぼします。この疾患は消化管の異常な運動や刺激に対する反応の変化で起こるとされ、慢性的な腹痛や不快感、便通の異常(下痢や便秘、またはその両方)が特徴です。
過敏性腸症候群の正確な原因は不明ですが、ストレス・心理的要因や食生活などが関与しているとされています。診断は、他の消化器疾患を除外することで行われます。初診では病状の確認に加え、血液検査やレントゲン検査、必要に応じて便検査や大腸カメラなどが行われます。
治療は主に、症状の緩和と生活の質の向上を目的とします。
- 食事療法
- 低FODMAP食(小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質を制限する食事)が有効な場合があります。
- 薬物療法
- 下痢や便秘、腹痛を緩和する薬や腸内細菌を整える薬剤が使用されます。
- 生活習慣
- バランスの取れた食事を心がけ、食事の時間を一定に保つことや、リラックスする時間をとり、適度な運動でストレスを軽減することが症状の改善に有効です。
肝炎
肝炎にはウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎などがあります。ウイルス性肝炎とは、肝臓が肝炎ウイルスに感染し、肝機能障害を招く疾患です。肝炎を引き起こすウイルスには、A・B・C・D・E型などがありますが、日本人に圧倒的に多いのがB型肝炎とC型肝炎です。肝がんのほとんどがウイルス性肝炎から起こるので、注意が必要です。
肝臓の炎症が6か月以上続く状態が慢性肝炎です。慢性肝炎の原因はB型・C型肝炎ウイルス、アルコール、アルコール以外のメタボリックシンドロームなどがあります。しかし、慢性肝炎の原因は8割程度が肝炎ウイルスによるものです。また肝がん(肝細胞がん)の約70%がC型肝炎・B型肝炎を原因としています。
以前はC型慢性肝炎のウイルス排除を目的としたインターフェロン治療は日本人に多いジェノタイプ1型・ウイルス量の多い方には効きにくいといった難点がありました。しかし2014年以降、ウイルスに直接作用する飲み薬(DAA)によってC型肝炎ウイルス排除は95%以上の方で達成できるようになりました。8週あるいは12週の内服で、継続困難な副作用もほとんどない治療です。C型肝炎の方、過去にインターフェロン治療を行ったがウイルス排除できなかった方についても是非ご相談下さい。
B型慢性肝炎については基本的に完全なウイルス排除は困難なため、肝炎が沈静化した状態を維持する治療となります。治療の目標はウイルスの活動をおさえて肝硬変や肝がん発生を防ぐことです。核酸アナログ製剤(エンテカビル・テノホビル・ベムリディ®)・インターフェロン・肝庇護薬などを用いた治療になります。
当クリニックは専門的な知識を持つ医師(日本肝臓学会肝臓専門医もしくは、日本消化器病学会の専門医)を配置し、診断と治療方針の決定を行うことのできる医療機関として、愛知県知事に指定された指定医療機関です。B型・C型肝炎患者医療給付事業の申請には日本肝臓学会肝臓専門医もしくは日本消化器病学会の専門医が記載した診断書が必要です。助成金申請をご検討中の方も当院で是非ご相談下さい。
アルコール性肝炎は、大量飲酒による脂肪肝が進行することによって起こります。主な症状は倦怠感、吐き気、黄疸などですが、はっきりと現れないケースもあります。肝臓は非常に回復力が強い臓器なので、アルコール性肝炎と診断されても、初期であれば飲酒量を減らすことで改善します。なお、お酒を飲まない人が脂肪肝炎になり、肝硬変、肝がんへと進行するケースがあります。これは非アルコール性脂肪肝炎と呼ばれ、自覚症状もほとんどありません。主な原因は、肥満・糖尿病・脂質異常症、薬剤摂取などと言われます。治療には生活改善が大切で、低エネルギーで栄養バランスの良い食事を心掛け、適度な運動を生活に取り入れます。それでも肝機能異常が治らない場合は、薬物療法が行われたりします。
膵炎
急性膵炎では急激に上腹部や背中の痛みが現れ、吐き気や嘔吐、発熱を伴うことがあります。重症例では呼吸困難、意識障害などもみられます。上腹部に急性腹痛発作と圧痛が起こったり、血液中の膵酵素が上昇したり、画像検査で膵炎に伴う異常が認められたときは急性膵炎と診断します。軽症や中等症の多くは内科的治療で治癒しますが、重症の膵炎では死亡率も高くなり、手術治療が必要となる場合もあるので(感染性膵壊死の場合など)、専門医療機関で治療する必要があります。急性膵炎の原因は主に①アルコール摂取②胆石③特発性(原因がはっきりしないもの)とされます。胆汁の流れる胆管は膵臓の中を通って十二指腸に繋がりますが、胆管の出口は膵液の出る管(膵管)の出口と共通なので胆石でも膵炎が起こる場合があります。また、先天的に胆管と膵管の合流に異常がある場合も急性膵炎の原因となることがあります。
慢性膵炎は繰り返す上腹部痛や背中の痛みなどを主な症状とし、正常な膵臓の組織が消失して線維性の硬い組織に置き換わった状態です。超音波検査などで膵管内に石を認めたり、膵臓のやせ(萎縮)を認めたりします。慢性膵炎の原因はアルコールとそれ以外に大別されます。アルコール以外の原因には家族性・遺伝的なものや自己免疫性(体の中に自分の組織を攻撃する抗体ができてしまう)などがあります。進行すると膵臓の消化液や血糖をコントロールするインスリンの分泌が悪くなったりします。治療には飲み薬による消化酵素の補充や糖尿病のコントロールなどがあります。
気を付けなければならないのは膵癌によって膵炎がおこり、糖尿病の発症や、糖尿が悪化するなどの場合があることです。このように糖尿が急に起こったり急に悪化したりする場合には膵癌の存在を考えて超音波検査などの画像検査を行う必要があります。
胆石

胆石
胆のうの中などで胆汁が固まってしまい、胆石が生じることがあります。この胆石が胆のうの出口や胆管で詰まると、突然の激しい痛みを引き起こしたりします。脂っこいものを食べたりすると、お腹の右上辺りの痛み、背中やみぞおち、右肩の痛みなどが特に強まります。もっとも、無症状のまま日常生活を送っている方も珍しくありませんし、鈍痛や違和感を伴うだけの患者様もいます。
なお、胆石があるだけで特別な症状が無いときは積極的な治療を行わず、経過観察します。胆石が詰まって症状が出現したときは、痛み止めや胆汁の流れを改善する薬を使用しながら詰まりが解消するのを期待します。胆石が大きい場合や、胆のう炎や胆管炎を起こしている場合には手術が行われます。胆のうを取り除く手術には内視鏡を使う腹腔鏡下手術と開腹手術がありますが、一般的には腹腔鏡下手術が行われます。
各消化器がん〈食道がん・胃がん・大腸がん・肝がん・膵がん〉
食道がんは、嚥下困難で気付くことが多く見受けられます。喫煙、飲酒が危険因子で、頭頚部がん(口の中やのどの部分のがん)との重複がしばしば見られます。食道の周りはリンパの流れが複雑で、食道がんは早期からリンパ節転移を起こす可能性があります。リンパ節転移のないと考えられる浅い食道がん(EP・LPMがん)は口からの内視鏡治療で完治する可能性があります。一方、ある程度進行しているものの手術で取り切れると考えられる食道癌は抗がん剤治療を行ってから取り切る手術を行うのが標準的です。なお、食道から遠くのリンパ節、肺、肝臓などに転移がある場合には、抗がん剤を用いた化学療法が治療の中心となります。
胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が何らかの原因でがん細胞に変化する疾患であり、日本人の罹りやすいがんの一つです(男性では最も多いがんです)。早期の胃がんは自覚症状に乏しいため、多くは胃がん検診や人間ドックを受けた際に発見されます。毎年定期的に検診を受けることが早期発見のために最も重要です。早期の段階ならば胃カメラによる内視鏡治療が可能で予後もとても良くなっており、完全にがんを切除できた場合、治癒率は9割を超えます。またピロリ菌は胃がん発生の原因になることが判明しており、ピロリ菌除菌は胃がんの予防に重要です。
大腸がんのうち、盲腸からS状結腸までにできるものを結腸がんと呼び、直腸から肛門までにできるがんを直腸がんと呼びます。両方合わせて大腸がんと言いますが、どちらも腸の粘膜から発生する悪性の腫瘍です。大腸がんの6割はS上結腸から直腸に起こります。また、大腸がんには隆起型と平坦陥凹型とがあり、通常、前者はゆっくりと進行するのに対し、後者は腸壁内に食い込んでいきながら極めて早く進行します。大腸がんのリスクが高くなる年齢は50代からで、60~70代でピークに至ります。しかし、他のがんと同様に若年化が進んでおり、若いからといって油断は禁物です。早期の大腸がんは症状がないため、検診が重要です。大腸がん検診(便潜血反応)が要精密検査になった場合、3割から4割程度の人でポリープが見つかり、0.03から0.04%の方に大腸がんが見つかりますので要精密検査になったら大腸内視鏡検査を受けることが重要です。
上部消化管内視鏡(胃カメラ)について
胃カメラでは、細い内視鏡(スコープ)によって食道・胃・十二指腸の内側を調べ、ポリープやがん、炎症などを発見します。この検査を定期的に受けておくことで、万が一胃がんになっていても早期発見の確率が飛躍的に高まります。特に、ピロリ菌感染(除菌後を含む)や慢性萎縮性胃炎のある方には定期的な内視鏡検査が必要です。
胃カメラはスコープを挿入する場所によって呼び名が変わり、鼻から入れる経鼻内視鏡と、口から入れる経口内視鏡検査があります。当クリニックでは、オリンパス社製の内視鏡システム・スコープを用いており、経鼻内視鏡および経口内視鏡のどちらにも対応しています。経鼻内視鏡は口から挿入する経口内視鏡に比べて嘔吐反射や不快感が少なく、比較的楽に行える検査と言えます。また、経口内視鏡でも経鼻内視鏡と同じ太さのスコープを用いますのでのどの違和感は通常よりも少ないと考えられます。どちらの場合でも画像強調内視鏡(narrow band imaging: NBI)検査や顕微鏡による診断に必要な胃粘膜のサンプル採取(生検)が可能です。
みなみ内科・外科クリニックでは麻酔による「眠って胃カメラ」検査を行っております。少量の麻酔薬(鎮静剤)を注射して眠っている間、あるいは「ぼーっ」とした間に検査を受けていただけます。検査に対する不安の強い方にお勧めいたします。検査予約の際にお気軽にご相談下さい。
※検査終了後は1時間ほどベッドで休んで頂きます。
※当日乗り物の運転はできません。
※名古屋市の胃がん内視鏡検診は、検診規定の関係で「眠って胃カメラ」の対象外です。
腹部超音波検査(腹部エコー)について
腹部エコーは超音波振動の出るプローブと呼ばれる機械を体の表面にあてて超音波の跳ね返りで体の内部を検査する装置です。当クリニックでは富士フイルムヘルスケア社の超音波診断装置を使用しています。当クリニックの腹部エコーでは臓器の形だけでなく、血管内の血流評価や肝臓の硬度測定・脂肪化推定なども可能です。超音波用のゼリーをつけて機械を当てるだけの検査ですので痛みはありません。胃内に食事があると観察不良となりますので午前中なら朝食、昼からなら昼食を抜いた上で検査を行っています。